おばあちゃん
私が初めて麻雀牌に触れたのは箱根のとあるペンションだった。
当時、酷いアトピーだった私たち双子をおばあちゃんが湯治に連れてきてくれたのだ。
小学校低学年だった当時は温泉の良さはちっともわからないし、おばあちゃんは勉強を勧めるばかりで退屈だった。
双子は暇を持て余しペンションの中の棚という棚を開ける。
そしてついに見つけた、麻雀牌セット。
見兼ねたおばあちゃん、ちょうど4人だし、麻雀やってみるかい?と。
おばあちゃんから教わった麻雀の役は七対子。箱根ペンション麻雀は全員が七対子を目指す。七対子しか和了できない。また、テンパったらリーチをしなければならない。ドラと裏ドラはある。
そう、ほぼほぼ運ゲーなのである。
今思えば七対子しかない麻雀ってなんだよ、おばあちゃん!と思うが、おそらくおばあちゃんなりの優しさだったのだろう。小学生でもすぐ楽しめるように。
また、我々双子は、七対子が双子7組という親近感もあり、おばあちゃんの思惑通りすっかり七対子麻雀にハマったし、小さい頃は七対子やトイトイが大好きだった。
おばあちゃん、私は今は七対子があまり好きじゃないです。