しらたまちゃんの話
中学2年生の頃、
純血種の猫に憧れた。
図鑑をめくって一目惚れしたのが、トンキニーズという猫。
シャムとバーミーズの掛け合わせでできた猫種で、シャムを丸くした感じの筋肉質な種類。
日本ではあまりメジャーじゃなく、世界でもそんなに多い種類ではない。
当時、トンキニーズをペットショップで見たことが無かった。
のに、出会ってしまったのである。
うちに来た時はめちゃめちゃ小さくて、白かったからしらたまちゃんって安直に名前をつけた。
ポイントカラーだから当然寒くなると黒くなる。
そして、このしらたまちゃんは、めちゃめちゃ人懐こくて、毎日私と寝た。
そして、一緒に育った。
しらたまちゃんとキャットショーにチャレンジして、日本で初めてタイトルを取ったトンキニーズになった。
中学、高校、大学、就職。
病める時も健やかなる時も、
間違いなく私の生きる軸。
大きな病気もなく手もかからなかった。
そんなしらたまちゃんが、一昨年の11月末、ガンと診断された。
猫のガンというのはなかなか厄介である。
治療は人間よりもはるかに選択肢が少ない。
しらたまちゃんのなったガンは、治療法がなく、アメリカではすぐに安楽死を勧められる病気だった。
鼻に腫瘍ができて、骨を溶かしていく。
顔が変形して、ご飯が食べられなくなる。
しらたまちゃんは身体はとても元気なのに、余命宣告と、これから起きるであろう辛い事象を前に、私は悩んだ。
余命は長くて4週間。進行が早ければ2週間。
辛い時間を過ごすだけであるなら、安楽死をした方がいいのか。
それでもしらたまちゃんは少しでも長く生きていたいのか。
そして、私は決意した。
身体が元気なうちは、しらが生きる意志があるうちは、穏やかに時間を過ごそうと。
それから、半年、間違いなくしらたまちゃんは幸せな日々を過ごしたと思う。
そう、余命宣告よりもはるかに長い時間、一緒に過ごせた。
そして、1年前お別れの日を迎えた。
約11年間、本当に感謝しかない。
ペットロスにはならなかった。
だけど、部屋にしらたまちゃんがいないのは寂しいなぁ。ほんと。