セブンスターさんの話
私が小学生高学年になったタイミングでパソコンが家に導入された。
パソコンは雀卓がある麻雀部屋に設置され、昼間はおじいちゃんが、夜中は母がロン2をひたすら打つために酷使されていた。
そんなパソコンを唯一使えた時間が夕方~晩御飯までの時間だった。
私は「リヴリーアイランド - Wikipedia」をやっていた。
最近はスマホゲームで復活している。
そしてこのゲームこそが、私をオンラインゲームへ誘った最初のコンテンツだった。
やっていた人は知っているかもしれないが、このゲーム、ゲームというよりチャットツールである。
(餌の種類で色や大きさが変わるとか、島のデザインを拘れたり、なんとなくレベルという概念が存在している)
ちなみに私は「ひゅーぃ★」という飼い主名で「びぃ★」という名前のヘンプクジンチョウを育てていた。この★がなんとも小学生っぽい。
私はこのチャットツールでタッチタイピングを習得し、インターネットでの人間関係の基礎を学んだ。
リヴリーのチャットは入力規制が厳しく、文字数が少なく限定されていたり、ログが残らずすぐに消えるといった工夫があった。
おそらくターゲット年齢が小学生~高校生のため、子供たちを守るためであろう。
そんなリヴリーの中で初めてインターネットを介して友達ができる。
その人の名前は「セブンスター」さん。
この人の不思議なところは常に話しかけても返事があることだった。
そしてどんな話をしても、聞き上手で自分の話をあんまりする人ではなかった。
小学生の頃からおしゃべりクソ野郎だった私はログインする度にセブンスターさんの島に行き、他愛のない話をチャットに打ち込む。
今となってはどんな会話をしていたのか全く覚えていないが、私が行き過ぎた発言をするとたしなめるような人だった。
とくにネチケットにはうるさかった。
個人情報とは何か、個人情報をインターネット上で話してはいけないとか
相手を傷つける発言や個人情報を特定するような質問はダメとか。
今思えば当たり前のことを当たり前に注意してくれる人だった。
そんな注意を受けながらも毎日惰性のように話しているとセブンスターさんはどんな人なんだろう、という好奇心が日々募っていった。
そしてある日聞いてしまった、おいくつなんですか?、と。
セブンスターさんは当時56歳の男性だった。
名前の由来は昔吸っていたタバコの銘柄で、病気で仕事もそんなにできないから家にいることが多いとのことだった。
あれから15年程たった。
正直スマホ版リヴリーがリリースされるまですっかりセブンスターさんを忘れていた。
小学生向けのゲームを毎日行っていたのは、片手間でログインしていたのか、どういう事情なのかは今となっては想像の範疇を出ないが、私のインターネットとの付き合い方の基本を導いてくれた人には違いない。
リヴリーをきっかけにオンラインゲームにハマり、ブラ3という廃人ゲームで大学受験浪人やメンヘラになったのはまた別の話。
はてなインターネット文学賞「わたしとインターネット」