ハゲピアスおじさん
小学校5年生に上がるタイミングで、転校した。
その先で待っていたのは いじめ 問題だった。
転校して初日に感じた違和感。
常に赤い顔して俯いてる女の子がいた。
仮にAさんと呼ぶ。
クラスの女子はAさんと話しかけることは一切なく、男子はとにかくAさんを罵ったり暴力を振るっていたりしてた。
担任の先生は幸の薄そうな初老の細身の男の先生で覇気はない印象だった。
馬鹿みたいに正義感の強かった私はAさんと仲良くなろうとした。
正直今思えば私はAさんのことが好ましくは思ってなかった。
その頃の私は好き嫌いの割合が<嫌い>の方が圧倒的に多く、学校のほとんどの人を嫌いだった。(Aさんが悪いわけじゃない)
だが、いじめは良くない、という正義感だけで仲良くなろうとした。
その結果、いじめの標的は私になった。
いじめられても基本的にそんなに気にすることはなかったのだけど、小学校高学年はなにかと学校行事があり、それがただただキツいのだ。
また、女子の陰湿なイジメは内心馬鹿にしてたが、男子の直接的な言葉の暴力と脅しがとにかく怖かった。
ヤンキーっぽい感じでいつか路地裏に呼び出されてボコボコにされるんじゃないかという身体的恐怖があった気がする。
そんなわけで、ついに私は母に学校に行きたくないと宣言した。
幸いなことに双子の姉がいたので、私が学校でどんな目に合っているのかは姉が証言してくれた。
母はただ、学校なんて行かなくて良いけど、勉強はしなさいよ、と言った気がする。
そしてその次の日、我が家に衝撃が走る。
おじいちゃんが学校に行くと言ってるのだ。
見た目が超絶怖いおじいちゃんである。
(私が生まれる前の逸話が怖すぎるおじいちゃん)
母があんなに必死に止めている姿を初めて見た。
祖父が言うことには母子家庭で母だけが行くと学校に舐められると。
私は必死に母を止めた。
学校には来ないでくれ、、学校にママが来るなら私はちゃんと学校に行くと宣言した。
母が学校に来たら大惨事になるのではと危惧していたためである。
そして私は母が学校に来る恐怖>>>イジメの恐怖という式からたった1日で再登校することとなる。
その日の給食の時間、突如校内放送で私は呼び出された。
母が校長室に来ていた。
なんでやねん。
そして校長先生、教頭先生、担任の先生から事情を聞かれた。あまりの衝撃でほとんど覚えていない。
そして教室に戻ると、教室がざわついていた。
揃いも揃って[ハゲピアスこえええ]と言ってるのである。
なんだ、ハゲピアスって。
自分の席で呆然としていたらいじめてきていた男子が来て、ハゲピアスお前のなんなの?って聞かれた。
え?私に関係あるのか?
家に帰って母に聞いて見た。
どうやら母は叔父さんを連れて学校に来てたらしい。
伯父さんは坊主でピアスをつけていて、目の下には切り傷があり背も高い。BLEACHの班目一角を想像してもらいたい。
そして着ていったTシャツは可愛い猫イラストに<ぶっ殺す>と書いてあるデザイン。
これは怖い。
私が校長室に呼び出されている間ハゲピアスおじさんは私の教室に行き、男子達にゆうりのことよろしく、と一言言って去っていったのだ。
その日から私が男子からいじめられることは無かった。
女子の陰湿なイジメは続いたが、叔父さんのインパクトが強すぎて私はその頃の記憶があやふやである。